キャッシュ・フローとは?|放っておくとマズい!「勘定合って銭足らず」

利益は出ているのに、なぜかお金が減っていく、まさに「勘定合って銭足らず」の現象に陥っている会社は実は多くあります。 
この現象について悩まれている社長様は多く、弊社でも特に新規で顧問契約をした先に多くあります。 
昨今ではコロナの影響により資金繰りが厳しくなってる企業が多く、実質無利息・無担保の特別貸付により 金融機関の融資残高が統計を取るようになって過去最大となっています。 
返済据え置きで融資を受けられている先は今後返済により資金が減少していくことが想定されます。 
また、コロナ禍に対応したり、思い切って事業を転換する際には、新たな機器の導入が必要となることが多く、設備投資に資金がいります。 
借入の返済がある場合や設備投資などを行う場合は利益だけではなく資金の流れキャッシュフローについて把握していないと資金ショートを招く恐れがあります。 
 この動画では、キャッシュ・フロー経営という観点から現状の経営課題を見直し、活用できる内容についてパートを7回に分けてご案内します。 
今回パート1ではキャッシュ・フローの概要についてお話します。

はじめに

そもそも、キャッシュフローとは何でしょうか。 
事業を運営するにあたり、もっとも大切なモノの一つとして「お金」が挙げられます。 
事業を行う以上、お金を求めることはあたりまえなことです。 
しかし、入ってくるお金である「収入」よりも、仕入れや従業員の給与などの「支出」のほうが多ければ、事業はすぐに立ち行かなくなります。 
キャッシュフローとは、この「収入」と「支出」の差のことをいい、「収入」の範囲内での「支出」に抑えて事業を運営することを第一に考えた経営のことを「キャッシュフロー経営」と言います。 
事業が継続するためには「利益」を出すことが必要ですが、存続や発展のためには「利益」ではなく「お金(キャッシュ)」が必要です。

キャッシュ・フローとは

では、「利益」と「お金(キャッシュ)」に差が生じるのはなぜでしょう? 
事業の結果を表現するものとして「決算書」があります。 
この「決算書」は申告に利用しますが、この「決算書」に記載する数値は「発生主義」により計算されています。 
決算申告を行うにあたり、「今期の利益は100万円であり、税金が30万円発生しました」と言われたとします。 
しかし、現預金は期首と同額であり、全く増えていない こんな時は無いでしょうか? 
この原因が「発生主義」での計算方法による場合が多くあります。

企業会計は「発生主義」

例えば、100万円で購入した商品を150万円で販売したとします。 
購入代金の100万円は購入した時に支払っています。 
150万円で販売した商品のお金が1か月後に入金される場合、入金されるまでの1か月間はお金が無い状態となります。 
しかし「発生主義」では入金時に「売上高」を計上するのではなく、相手先への納品、サービスの完了などの取引が完了した時に「売上高」を計上することになります。 
従って、売上の入金や商品購入の出金に関係なく
「売上高:150万円 - 仕入高:100万円 = 利益:50万円」となります。 
一方、実際のお金は「入金:0円 - 出金:100万円 = ▲100万円」となります。 
この方法は「現金主義」と言いますが、基本的には事業利益の算出方法としては認められていません。

利益ベースで経営してはいけない

このように、利益ベースの経営で考えてしますと、先ほどの例では「50万円の利益があるから大丈夫」となりますが、 実際には入金を受けるまでお金が減少しており、このような状況で給料や光熱費などの月々の経費に加え、 営業車両の購入などの設備投資や法人税や消費税の納税などのさまざまな支出が重なれば、 お金が不足してしまい、最悪の場合、資金ショートにより事業の継続が難しくなることが考えられます。 

また、仕入れた商品がすぐに売れるわけではなく「在庫」となる期間があります。 
この期間が長ければ、購入した商品の仕入れ代金を先に支払ってから販売しお金を回収するまでの期間が長くなります。 
基本的には支出が先行するため、その支出に見合うお金を事前に準備しておく必要があります。

資金繰り計算書

資金ショートを防ぐためには、いつごろ、どれだけのお金が必要かを事前に把握することが重要です。 
そのための手段の一つとして資金繰り計算書の作成が有効となります。 
作成により、資金不足が生じた場合、融資を受けることや設備投資の見送りなどを検討しましょう。 

「キャッシュフロー経営」は、「将来こうしたい」とか「こうなりたい」という、「将来なりたい姿」から逆算して、 今何をすべきかを考え実行することにあります。 
そのため「経営計画」を立案するとともに、「資金繰り計算書」を作成することが求められます。

キャッシュ・フロー計算書

「キャッシュフロー経営」に必要な計算書として、「キャッシュフロー計算書」があります。 
事業を行うための活動を3つに区別した表となっています。 
この「キャッシュフロー計算書」については次回詳しくご説明します。

まとめ

キャッシュ・フローとは、ある一定期間のキャッシュの流れ。キャッシュの流入(収入)と流出(支出)の差 

今回パート1では、キャッシュ・フローの概要ついてお話ししました。 
次回パート2では、キャッシュ・フロー計算書についてお話ししますので、ぜひ視聴下さい。